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| [326] 2017/7/20 | |||||||||||||||
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■ 「読書日和」(2017/7, 丸善津田沼店)で、『本陣殺人事件』『獄門島』が紹介!
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チョッとローカルネタで申し訳ありませんが(^4)、丸善書店津田沼店の有志スタッフが、毎月発行している「読書日和」というフリーペーパー(2017/2)に、「2012年版東西ミステリーベスト100 全作レビュー」のコーナーがあり、「10位『本陣殺人事件』横溝正史 角川文庫」と「1位『獄門島』横溝正史 角川文庫」が紹介されている。このコーナーは、2016年10月号から始まっており、2017/4号で「39位『犬神家の一族』」、2017/2号で「57位『八つ墓村』」、2016/12号で「75位『悪魔の手毬唄』」が紹介されたことは記憶に新しい(^^;)。 | |||||||||||||||
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その「読書日和」で、「10位 横溝正史『本陣殺人事件』角川文庫」と題して、『本陣殺人事件』が次のように紹介されています。 密室殺人というのは魅力的な謎であるにもかかわらず、実際的な面から考えるとこれほど不経済な殺し方はない。トリックを考えるのには時間と労力が必要だし、「針と糸をあやつって閂を……」などと只今絶賛トリック実行中に誰かに目撃されてしまう可能性だってあるし、何よりもわざわざ密室を演出する理由が「自殺に見せかけるため」以外にそうそう思いつかない。つまり、ミステリー作家がわざわざ密室殺人を描くとしたら、以上の不経済をふまえて読者を納得させるトリックを考えなければならないのだ。 その点において『本陣殺人事件』ほど見事に、密室殺人事件の不経済性を解決しているトリックはなかなか無い。結婚式の後、初夜を迎える夫婦が日本刀で切り刻まれ、現場となった離れの周囲には足跡ひとつない新雪が積もっているといった所謂「雪の密室」のトリックは、その周囲にちりばめられた伏線と見事に連携した傑作である。真っ向から勝負した密室トリックとあっと言わせる捻りの効いた犯人、そして何よりもある怪現象が物語の雰囲気を盛り上げるだけでなくトリックの重要な部分に関わっているという、全てが一つの絵のピースでありながら人工的なわざとらしさを感じさせない構成はもはや神業である。江戸川乱歩の「D坂の殺人」以降、日本でも様々な密室トリックが考案されてきたが、かくも物語と融合したトリックは本作くらいではないか。密室トリックを扱ったミステリーとして初期の作品でありながら一つの完成型ともいえる傑作である。 余談だが、本作はかの有名な名探偵・金田一耕助の初登場作品である。その歴史的価値も感慨深いものがある。 「2012年版東西ミステリーベスト100 全作レビュー」コーナーの冒頭で、『獄門島』は再読に値する作品である旨、記されている。 今回でこのチャレンジも最後である。ここまでくると全て名作ぞろい。ほとんど読んだことがある作品ばかりである。必然的に再読という形になったが、どれも新しい発見があって面白い。その中でも一番はやはり『獄門島』である。再読すればするほどおもしろくなっている気がするというのは、やはり一位を獲得するゆえんなのだろう。 いよいよ最後、「1位 横溝正史『獄門島』角川文庫」と題して、『獄門島』が次のように紹介されています。 ケレン味を利かせると事件が浮世離れしたものになり、登場人物の行動もどこか機械めいてきてしまう。かといって現実に寄せすぎると地味な小説になってしまう……。今までのレビューの中で何度か触れてきたミステリーの抱える葛藤である。その葛藤を物語の中で絶妙に解消してみせる作家が横溝正史であり、その最高傑作が『獄門島』なのだろう。 事件はケレン味たっぷりに展開される。瀬戸内海の孤島で美しくも狂った美少女が次々と殺される。死体は木に逆さに括り付けられたり吊り鐘で覆い隠されたり、事件現場には島にいる狂人の犯行を匂わせるモノがあったりと盛りだくさんだ。とはいえ、それらは物語をただ面白くする装飾物なのではない。事件の真相が明らかになれば、あらゆる要素が獄門島で起きた連続殺人事件にとって不可欠であったことが分かるのだ。ただ、それもムリにひとつにまとめたような人工臭さはまるで無い。ある出来事に対する人々の反応がまた新たな出来事を発生させるという、事件が生き物のように生成されていくような真相なのだ。メイントリックも素晴らしい。個々の殺人に用いられたトリックも面白い。しかし、真にこのミステリーの素晴らしいところは、人々の思惑の集合体としての殺人事件をかくも自然に描き出した構成にあるのではないか。 以上、長々と分析めいたことをしてみたが、初読時は何も考えずにただ楽しめばいい。雰囲気たっぷりの舞台に没入し、大胆なトリックに驚き、そして悲劇的な結末にやるせない気持ちになる。その後に、是非とも再読することを薦めたい。登場人物一人ひとりの言動が事件にどう関与しているのか見えてくる。そして今度は恐ろしく完成された物語に慄くべきなのである。 「読書日和」今号の「2012年版東西ミステリーベスト100 全作レビュー」コーナーは、FINALと銘打ち、横溝正史の「1位 : 獄門島」を紹介し、その国内編作品の紹介は無事終わった。ちなみに、「東西ミステリーベスト100」には海外編もあるので、近いうちに海外編がスタートすることを期待し楽しみに待ちたいと思う(^^;)。 関連ページ: ・「読書日和」(2017/4, 丸善津田沼店的フリペ)で、『犬神家の一族』が紹介! ・「読書日和」(2017/2, 丸善津田沼店的フリペ)で、『八つ墓村』が紹介! ・「読書日和」(2016/12, 丸善津田沼店的フリペ)で、『悪魔の手毬唄』が紹介! ・「読書日和」(2014/6, 丸善津田沼店的フリペ)で、『夜歩く』が紹介! ・文春文庫版『東西ミステリーベスト100』(2012年版)刊行! ・『東西ミステリーベスト100』 2012年版刊行! | |||||||||||||||
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