|
横溝正史やその作品に関連する、ニュースやトピックスをお寄せください。 ご協力を、よろしくお願いします。 |
| [255] 2013/3/10 | |
|
■ 『ビブリア古書堂の事件手帖4』に、横溝正史関連のエピソードが…!
| |
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖4 -栞子さんと二つの顔-』(メディアワークス文庫, 2013/2/22刊)を読む機会がありました(個人的に好きなシリーズです)。横溝作品が収録されているわけではありませんが、敢えて紹介するには訳があります。 文庫巻末のあとがきに、三巻を書き上げた時に、次の巻で江戸川乱歩を取り上げることを決めていました。短編では難しいだろうから長編にしよう とある通り、今までの3冊の短編集的な内容と異なり、この第4弾は長編小説で、しかもメインテーマは江戸川乱歩です。各章のタイトルに『孤島の鬼』『少年探偵団』『押絵と旅する男』と、江戸川乱歩の作品名がつけられています。物語に、 いくつか横溝正史に関するエピソードが記されていましたので、引用紹介させていただくとともに、ご一読をおススメします(以下、未読の方ご注意ください)。また、文庫巻末に添えられている「参考文献」も圧巻です。 p.38 昔から有名な日本の名探偵といえば、明智小五郎と金田一耕助、だと思う。 p.88 (略) 横溝正史『本陣殺人事件 黒猫亭事件』角川文庫。『本陣殺人事件』は有名な作品だったと思うが、これも絶版なのか。 「……それはな、カバーが珍しいんだ。『黒猫亭事件』って書名も入ってたのはほんの一時期だけでよ」 私が持っている文庫の背表紙は、『黒猫亭事件 本陣殺人事件』となっています。表紙カバー画の方を見たということでしょう。 p.101 一種のお遊びといっていい企画ですけど、当時はこういう合作の探偵小説がいくつか発表されていました。特に『江川蘭子』は執筆陣が豪華だと思います。第二回は横溝正史が書きました。他にも夢野久作、甲賀三郎、大下宇陀児、森下雨村……」 横溝正史の名前はさっき見かけたばかりだった。もちろん、金田一耕助を生んだ作家だ−−確かそうだったと思う。 「江戸川乱歩と横溝正史って、仲がよかったんですか?」 「もちろんです。そもそも、知人の紹介で親しくなった横溝正史に、探偵小説を書くよう勧めたのは乱歩ですから……デビューのきっかけを作ったわけですね。若い頃、横溝正史は雑誌の編集者としても活動していたんですが、一時期は乱歩の担当編集も勤めていました。乱歩が他界するまで、四十年の長きにわたって交流が続いていたそうです」 「そうだったんですか……」 全然知らなかった。明智小五郎の生みの親と、金田一耕助の生みの親がそこまで関係が深かったとは。 「トモカクスグコイ」の電報エピソードは、省略されたようです(^^;)。
p.172『空中紳士』や『殺人迷路』 『江川蘭子』のほかにも、江戸川乱歩絡みの合作小説として上記2作が紹介されましたが、 横溝正史がメンバーとなっていたのは『殺人迷路』の方です。 春陽文庫から、『江川蘭子』『殺人迷路』などの合作小説が刊行されたことがありますが、残念ながら現在は絶版・品切れのようです。 p.236 「(略) 『押絵と旅する男』の第一稿は昭和二年の秋頃、関西への旅行の最中に書かれたんですが……」 旅する男の話を旅の間に書いたということか。だからこそそういう題材を選んだのかもしれない。 「乱歩はその原稿を持ったまま、名古屋で作家組合の会合に参加します。原稿を依頼したのは、当時雑誌『新青年』の編集長だった横溝正史でしたが……」 「あ、そうか……編集者もやってたんでしたっけ。横溝正史って」 乱歩とは何十年もの長きに渡る親交があった、とも聞いている。 「そうなんです。しかし、乱歩は作品への自信のなさから、名古屋で落ち合った横溝正史に原稿を見せることができず、夜中にホテルのトイレで破り捨ててしまったんです」 このエピソードは、『週刊マンガ世界の偉人26 江戸川乱歩』(朝日新聞出版, 2012/8)で描かれていますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。 p.237 「……トイレで破り捨てたというのは、あくまでも本人の証言よ」 篠川智恵子が口を挟む。栞子さんは呆れたように首を振った。 「乱歩に嘘をつく理由はありません。第一、同じ部屋に泊まっていた横溝正史の証言もあります。原稿を捨てた直後に乱歩からそう告白されて、穴があったら入りたい気持ちになった、と随筆にも書かれているんです」 「『代作ざんげ』ね。あの随筆なら私も読んでいるわ。でも、乱歩が自分の鞄を探った後に部屋を出て行って、また戻ってきた姿しか横溝正史は目にしていない……(略)」 ちなみに、横溝正史の随筆「代作ざんげ」は、江戸川乱歩の「作者返上」とともに、 雑誌「X」昭和24(1949)年4月号に所載され、『横溝正史全集1 真珠郎』(講談社, 1970/9)に、目次には記されていないが共に収録されている。また「代作ざんげ」は、横溝正史『探偵小説五十年』(講談社, 1972/9)にも収録されている。文庫巻末の参考文献から察するに、『探偵小説五十年』は講談社オンデマンド版があるようです。 フジテレビ系テレビドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』で、この第4巻「江戸川乱歩」編が、第10話('13/3/18), 最終話('13/3/25)の前後編として放送されました。 第10話のエンドロールで、挿絵の横溝正史とともに、 精力的に活動する一方、行き詰まると放浪の旅に出た。 『新青年』の編集長・横溝正史はそんな乱歩に悩まされたという。 というエピソードが紹介されました('13/3/29追記)。 関連ページ: ・横溝考古学・事始め:(32)代作ざんげと作者返上 ・ほぼ週刊・本棚から横溝正史:(113)『週刊マンガ世界の偉人26 江戸川乱歩』 | |
![]() 横溝ペディアへ |
![]() アーカイブスへ |
![]() ページの先頭へ |