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| [444] 2025/8/8 | ||
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■ 今なぜか、『金田一耕助さん あなたの推理は間違いだらけ!』
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2025年7月29日付で刊行された、雑誌「昭和39年の俺たち」2025年9月号で、サブタイトルに冤罪を許さぬ左翼ジャーナリストが名探偵に挑んだトンデモ知的奇書と銘打ち、「金田一耕助さん あなたの推理は間違いだらけ!」というタイトルで、横溝ブーム当時に刊行された書籍紹介記事が掲載されている。本稿では、佐藤友之『金田一耕助さん あなたの推理は間違いだらけ!』について、一定の評価が記されている。 なお、類似書として同じ1978年に『森村誠一氏推理小説の間違い探し』(秋庭俊孝/グリーンアロー出版)が刊行されている。(略) これらは『磯野家の謎』に代表される90年代の「謎本ブーム」に先駆けたもので、安易なツッコミを入れるばかりのサブカル読み物に比べて佐藤友之の本気度は高い。金田一耕助、あるいは横溝正史というメジャーな"権威"に歯向かう左翼ジャーナリストの気概か。(略) 金田一の推理は正しいか、否か――三人目の探偵として読者諸氏も参加できる知的奇書である。
また、
翌79年、横溝ブームをパロディ化した映画『金田一耕助の冒険』に作家の高木彬光が登場し、「金田一さん、あなたの推理は問違っている ……というデタラメな本が出てますな」というセリフを披露。と紹介されているシーンは、DVD『金田一耕助の冒険』では、23:07頃に視聴できる。ただ、その後、佐藤本の正続から15の事件を抜粋した総集編まで発売されており、根強い金田一人気を感じさせてくれる(いまや古書価がべらぼうに高騰)。とも記されており、復刊もしくは文庫での刊行はできないものだろうか。この記事タイトルを見かけた際、てっきり復刊もしくは文庫化の宣伝告知記事なのかなと、考えたのは、自分だけだったのだろうか…。
「1集」と「1集と2集の傑作を再編集した新版」には、「金田一耕助へのラブレター ――まえがきにかえて」という、金田一耕助への挑戦状ともとれる、以下の書き出しの文章がある。 拝啓、親愛なる金田一耕助様。 長年にわたるあなたのご活躍。こころから感服しております。警察でさえ手に負えなかった幾多の難事件、怪事件をみごとに解決したてさばき。その頭脳の明晰さ。あなたに拍手喝采をおくらない人はいないでしょう。わたくしもそうしたファンの一人です。 ちなみに、佐藤友之本で指摘を受けた横溝正史作品は次の通り。本書でも触れられているが、深山幽谷, 由利麟太郎, 三津木俊助の扱った事件も含まれている。 『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ! 1集』 「悪魔の手毬唄」「八つ墓村」「獄門島」「犬神家の一族」「びっくり箱殺人事件」 「真珠郎」「白蝋少年」「黒猫亭事件」「蜃気楼島の情熱」「金色の魔術師」 「支那扇の女」「広告面の女」「三十の顔を持った男」「トランプ台上の首」 「女の決闘」「女王蜂」 『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ! 2集』 「病院坂の首縊りの家」「本陣殺人事件」「悪魔の降誕祭」「悪魔の寵児」 「仮面劇場」「三つ首塔」「夜歩く」「仮面舞踏会」「幽霊男」「廃園の鬼」 「女怪」「不死蝶」「貸しポート13号」 『新版 金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ』 「犬神家の一族」「八つ墓村」「本陣殺人事件」「悪魔の手毬唄」「獄門島」 「三つ首塔」「病院坂の首縊りの家」「女王蜂」「不死蝶」「仮面舞踏会」 「悪魔の寵児」「仮面劇場」「白蝋少年」「黒猫亭事件」「広告面の女」
この記事では、『森村誠一氏推理小説の間違い探し』『金田一少年の推理ミス』という刊本についても、紹介されている。『森村誠一氏推理小説の間違い探し』(秋庭俊孝/グリーンア口ー出版)。ルポライター2人の合同ペンネームによる著作だが森村作品の多くを「欠陥推理小説」とめった斬り、 ひたすら苛烈で陰険な筆致が続く1冊 『森村誠一間違い探し』本については後述するが、刊行当時から厳しめの評価がなされていたようである。
90年代の謎本ブームが生んだ『金田一少年の推理ミス』(世田谷卜リック研究会/データハウス)。人気マンガ『金田一少年の事件簿』に便乗したものだが、意外と真摯なスタンスを伴って全4冊のシリーズとなったこちらはシリーズ化され、『2』『激闘編』『復讐編』と続巻がある。「金田一耕助」に関する内容が記されているのは、最初の『金田一少年の推理ミス』だけのようである。「バッチャン=松月のおかみ」説に、なるほどと相槌を打ちそうになった。 『金田一耕助さん、あなたの推理は間違いだらけ!』刊行(1978/3)の3ヶ月後(1978/6)に、『森村誠一氏推理小税の間違い探し』は刊行されている。当時、横溝/森村ブームの渦中にあったこともあり、ご多分に漏れず、どちらも入手して「なるほど、なるほど」と感心しながら読んだことが懐かしく思い出される。ただ、森村誠一作品で個人的に好きだった「高層の死角」が含まれておらず、残念に思ったことを今も鮮明に憶えている(^^;)。 『森村誠一氏推理小税の間違い探し』で、間違いを指摘されたのは以下の作品。 証明三部作(人間の証明, 野性の証明, 青春の証明), 凶水系, 密閉山脈, 東京空港殺人事件, 超高層ホテル殺人事件, 新幹線殺人事件, 真昼の誘拐, 虚構の空路, 腐蝕の構造, 暗黒流砂, 短篇小説(催眠術殺人事件, 堕ちた山脈, 黒い合併, 殺意の接点, 精神分裂殺人事件, 魔性ホテル, 精神分析殺人事件) 秋庭俊孝『森村誠一氏推理小税の間違い探し』(アロー出版社, 1978/6)に関して、刊行当時には、以下の辛辣な論評があったようである(他にもあると思われるが…)。 1)「推理小説の批評は可能か?」(権田万治『現代推理小説論』第三文明社, 1985/3) 佐野洋の『推理日記』での高木彬光の『邪馬台国の秘密』の黄道修正説の誤りの指摘や、都筑道夫の『黄色い部屋はいかに改装されたか?』の中での小林久三の『暗黒告知』の小道具の扱いのミスについての指摘は鋭く、読者にとっても作者にとっても有益であった。それらは、いずれも推理小説の基本的欠陥を指摘するものであるからである。(略) 先ごろ、『金田一耕助さん、あたたの推理は間違いだらけ!』とか『森村誠一氏推理小説の問違い探し』など横溝、森村プームに便乗した著書が出版されているが、佐野洋や都筑道夫の指摘に比ぺると余りにも次元が低いアラ探しで、これが推理小説の批評だと思われたらまことに迷惑である。(略) 『金田一耕助さん、あなたの推理は間違いだらけ!』のほうは、それでも名探偵との知恵比べの要素があり、お遊びとして見れば罪がないが、『森村誠一氏推理小説の間違い探し』のほうは読んでいる途中で不愉快にさせられるようなないものねだりの連統である。 2)雑誌「政経人」1978/8 コラム出版界の話題 森村ブームに便乗した「間違い探し」 変わり種は最近出た「森村誠一氏推理小税の間違い探し」。文壇長者番付ナンバーワン、角川商法とのタイアップで最高の売れっ子作家、森村作品のアラ探しである。咋年暮、横溝正史作品を扱った「金田一耕助さんあなたの推理は間違いだらけ!」と同工異曲。 先にも記したが、『金田一耕助さん あなたの推理は間違いだらけ!』シリーズの復刊もしくは文庫化を、切に希望する次第。 関連ページ: ・ほぼ週刊・本棚から横溝正史 (25) 『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ!』1978/3 (26) 『金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ! 2』1978/8 (27) 『新版 金田一耕助さん・あなたの推理は間違いだらけ』1987/7 (11) 『金田一少年の推理ミス』1995/3 | ||
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