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| [285] 2014/9/17 | ||||||
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■ E.D.ビガーズ『鍵のない家』(チャーリー・チャンもの)完訳版(論創社)刊行
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2014/8/25付で、E.D.ビガーズ作「チャーリー・チャン」ものの『鍵のない家』(論創社)の新訳本が刊行されている。 "The House Without a Key"の完訳版である。『チャーリー・チャン最後の事件』 (Keeper of the Keys, 2008)と、『黒い駱駝』 (The Black Camel, 2013)という、全6作ある「チャーリー・チャン」シリーズのうち2作品が、近年新訳で刊行されたのは、横溝正史絡みだったこともあり、記憶に新しい。その第3弾となる本訳は、その「チャーリー・チャン」初登場の第1作にあたる。 チャーリー・チャンは、その探偵法を初登場の本作で次の通り語っている。 「本の中では指紋やその他の科学的方法は役に立ちますが、現実の捜査ではそうでもありません。私の経験は、人々を人間として深い考察の対象にすべしと命じます。人間の激しい心の動きを。殺人の背後にあるもの、それは何か? 憎悪、復讐、ロ封じ、あるいは金銭。人々を人間としてつねに研究するのです」 (第10章, p.158) これは、金田一耕助の一連の探偵法に近しいものと感じるのは、私だけだろうか。 金田一耕助も初登場作品『本陣殺人事件』なかで、自身の探偵法をこう語っている。 「足跡の捜索や、指紋の検出は、警察の方にやって貰います。私はそれから得た結果を、論理的に分類総合していって、最後に推断を下すのです。これが私の探偵方法であります」 (角川文庫改版『本陣殺人事件』 p.83) リップサービスかもしれないが、横溝正史は小林信彦との対談の中で、 サンフランシスコで、チャーリー・チャンと金田一耕助との共演をほのめかしている。 ビガーズの「チャーリー・チャン」作品について、どうやら横溝正史はよく知っていたようである。
『横溝正史旧蔵資料 世田谷文学館資料目録1』(2004/3)を紐解くと、E.D.ビガーズ作品として、『観光船殺人事件/観光団殺人事件』ならびに『消ゆる女/カーテンの彼方』が、横溝正史の蔵書としてリストアップされている。残念ながら、『鍵のない家』の記載は見当たらないようだが、おそらく横溝正史が本作も読んだであろうことは上記対談内容からも想像に難くない(と信じる)。以前紹介した『黒い駱駝』の、抄訳が掲載された『別冊宝石』45号(世界探偵小説全集11 E.D.ビガーズ篇, 昭和30年2月)には、この『鍵のない家』の翻訳も収録されており、もしやと想像を掻き立てる。 「チャーリー・チャン」シリーズ残り3作品についても、新訳で刊行してほしいと願うのは私だけではあるまい。既刊本は、品切れ・絶版状態になって久しい。復刊もいいが、新訳で読みたいところ。ちなみに『鍵のない家』は、電子書籍版(Kindle,2013)も新訳で刊行されている。『鍵のない家』の新訳読み比べも、一興かと思う。このように、近年E.D.ビガーズの新訳作品が読むことが可能となってきており、個人的にはうれしい限りである。ちなみに、「チャーリー・チャン」シリーズには、以下の6作品がある。 1)The House without a Key 鍵のない家 (新訳あり) 2)The Chinese Parrot シナの鸚鵡 3)Behind the Curtain 消ゆる女/カーテンの彼方 (チャーリー・チャンの追跡) 4)The Black Camel 黒い駱駝 (新訳あり) 5)Charlie Chan Carries on 観光船殺人事件/観光団殺人事件 (チャーリー・チャンの活躍) 6)Keeper of the Keys チャーリー・チャン最後の事件 (新訳あり) 今後、横溝正史にゆかりのある作家・作品について、鋭意取り上げていきたいと思う。
・横溝正史絶賛の探偵小説『黒い駱駝』完訳版(E.D.ビガーズ, 論創社)刊行 | ||||||
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