4-22 | ○三人のパトロン |
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人柄でしょうか、金田一耕助は協力者に恵まれていた。 等々力警部や磯川警部にとって、よき協力者が金田一耕 助であるように、金田一耕助にも、経済的なバックアッ プをも惜しまない、よき理解者というべき協力者がいた。 横溝正史は“パトロン”という言葉を使って、彼らを作 中で紹介している。 久保銀造、風間俊六と神門貫太郎の三人であり、私は 彼らが登場する作品を愛してやまない。彼ら三人が一同 に会した作品があっても不思議ではないのだが、残念な がら執筆されていない。 ・久保銀造 久保銀造は、金田一耕助を麻薬中毒から立ち直らせた 恩人であり、戦前から経済援助を行っている。サンフ ランシスコでの活躍が彼の目に留まったからこそ、金 田一耕助の事件簿はシリーズ化されたといっても過言 ではない。いつの頃からか、久保銀造の名は作品から フェードアウトした。お元気ですか。 「本陣殺人事件」「獄門島」「悪魔が来りて笛を吹く」 「女怪」「鴉」「蜃気楼島の情熱」に登場。 ・風間俊六 風間俊六は、金田一耕助の中学時代の同級生として紹 介されている。金田一耕助の生立ちを知るシリーズ唯 一の人物であり、金田一耕助のエピソード0を知って いる可能性大なのだが、彼は多くを語っていない。こ の人に、金田一耕助は相当厄介になっている。大森に ある、愛人の割烹旅館「松月」に金田一耕助を居候さ せたり、緑ヶ丘のアパート(後にマンション)の一室 を与えたり、生活面の面倒をみていた。 「黒猫亭事件」「悪魔が来りて笛を吹く」「女怪」 「女王蜂」「迷路荘の惨劇」「堕ちたる天女」「蝋美 人」「悪魔の寵児」「病院坂の首縊りの家」に登場。 ・神門貫太郎 神門貫太郎は神門財閥の総帥だが、久保銀造、風間俊 六に比べると、知名度は今一歩である。それもそのは ず、本人は「貸しボート十三号」で登場しただけであ る。「神門一族冤罪事件」を解決し、金田一耕助は彼 から絶大の信頼を得ている。 「貸しボート十三号」に登場。 神門貫太郎までを、金田一のパトロンとして紹介して いる文献は下記の通り。 ・山村正夫『名探偵紳士録』(ごま書房、昭和五十二年 三月) ・名探偵アカデミー編『名探偵デジタルファイル 金田 一耕助』(プレス・コーポレーション、一九九六年十 月。CD―ROM) 再度となるが、三人が一堂に会した作品があればと思 うこと然り。久保銀造・風間俊六・神門貫太郎、三人の それぞれの登場作品の中に見る、彼らの言動から、その 後の活躍・生涯を推理してみるのも一興かと思う。 |
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