横溝正史シソーラス(パイロット版) - 温故知新編 -
| 3-19 | ○「三人の天女」の謎 |
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博文館の雑誌「譚海」昭和十四年十二月号の次号予告 に、「三人の天女」というタイトルが載っている。残念 ながら「三人の天女」という作品は世に出ることがなく、 昭和十五年一月号には「幽霊花火」という、由利・三津 木コンビの活躍するスリラー探偵小説が掲載された。 予告によれば、「三人の天女」は明朗探偵小説であり、 「謎の美女三人 夜々不正の豪商を悩まし懲らす。作者 一代の大力作!!」と紹介されている。これでは、「幽霊 花火」の内容と予告の内容が一致しない。 この直前、横溝正史は実業之日本社の雑誌「少女の 友」昭和十四年九月号へ「七人の天女」という少女向け 探偵小説（現在は「片耳の男」に改題）を発表している が、こちらは親を失った兄妹が主役であり、やはり「三 人の天女」と関係があるとは考え難い。 「三人の美女が不正の豪商を悩まし懲らす」という内 容の作品には、心当たりも記憶もない。果たして、どん な作品になる予定だったのか。 予告文から察するに、ちょっと違うかもしれないが、 北条司「キャッツ・アイ」の内容を想起させる。「三人 の天女」という作品の謎は、ますます深まるばかりであ る。 |
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