横溝正史シソーラス(パイロット版) - 温故知新編 -
| 1-21 | ○プロ野球 近鉄ファン・横溝正史 |
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「直撃アンケート なぜ広島カープが日本一になるか」 （「週刊読売」昭和五十年十月二十五日号）に、横溝正 史が次のような回答を寄せている。 質問（１）セ・リーグの優勝は、逃げる広島でしょう か、追う中日でしょうか。 回答（１）広島 いまテレビを見ている（十日）んだけど、このままい きそうですね。中日は負けますよ。 質問（２）パ・リーグは、前期の阪急でしょうか、後 期の近鉄でしょうか。 回答（２）近鉄 質問（３）では、日本シリーズで優勝するのは、セ、 パどちら？ 回答（３）近鉄 私ずっと近鉄のファンです。ここまできたんだから、 なんてったって絶対に近鉄。戦力がどうのこうのじゃ ありませんよ。近鉄が日本一になります、ホントはな ってほしいんだよ。 このアンケートには、横溝正史の他に、岡潔、柴田錬 三郎、会田雄次、山藤章二、東海林さだお、虫明亜呂無、 篠田正浩、岡本愛彦、仲谷昇、山城新伍、小峰元、山東 昭子が回答を寄せている。横溝正史が近鉄ファン、しか も熱狂的近鉄ファンだったことを窺い知ることができる アンケート回答である。 長男・横溝亮一は、「無類の野球狂でこわがり屋だっ た父・横溝正史の思い出」（「週刊朝日」昭和五十七年 一月二十二日号）で、近鉄ファンの父親を、次のように 回想しており、微笑ましく感じる。 戦後になって、父は亡くなるまで一貫して近鉄の熱 狂的ファンだった。性格的に、“判官びいき”だったか ら、パ・リーグのお荷物といわれたころに「よし、俺 が引き立ててやろう」という気になったらしい。 テレビではめったに近鉄のゲームなんか放送してく れないから、仕方なしに大嫌いな巨人のゲームを音を 消して見ながら、ラジオで関西の放送を探り当てて聴 いている。トイレに立つ時もラジオを持っていく。 時々、便所の中で「やった、やったア」と叫んでいる ので、びっくりして飛んでいくと「羽田が逆転ホーム ラン打ったぞ」などど、小便をしながら、片手のラジ オをかかげて見せるのだった。 雑誌「別冊ベースボールvol.13 １９５８―２０１８ 球団別ベストセレクション 近鉄編」には、プロ野球選 手・西本幸雄と横溝正史の対談「野心満々で戦う時がき た！ “リーグのお荷物”といわれた時から近鉄ファン だった［金田一耕助の生みの親］が［プロ野球最年長監 督］にジワリジワリと肉薄する！ 西本幸雄×横溝正 史」（初出「週刊ベースボール」昭和五十五年一月二十 八日号）が再録されている。 「万年最下位時代からのファンとして有名だった推理 小説家の横溝正史氏が千九百七十九年の初優勝の後、西 本幸雄監督と対談。近鉄の試合中継がテレビでもラジオ でのなかった時代の話も貴重だ。」と紹介されているが、 これは、次の対談内容によるものと思われる。 西本 うちの得点経過を知るため、ラジオでほかのチ ームの中継をお聴きになるとか。 横溝 近鉄はやってませんからね（笑）。テレビは音 を消してラジオを聴いている。ラジオの方が他球場の 経過を早く教えてくれるからね。どうして近鉄のゲー ムをラジオやテレビでやってくれないんだろう。（略） 昭和五十四年度の日本シリーズで、近鉄は山際淳司の 短編ノンフィクションで語り継がれる「江夏の21球」の 前に敗れ、この年は広島カープが日本一になった。 |
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