横溝正史シソーラス(パイロット版) - 温故知新編 -
| 1-09 | ○横溝正史を旅する |
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雑誌『ダ・ヴィンチ』二〇〇〇年四月と九月号に、作 家・有栖川有栖による 横溝正史作品の舞台、岡山県・ 瀬戸内海へのミステリーツアーが掲載された（各月見開 き二ページ）。 ・第四回 岡山県・横溝正史（１） 「本格ミステリーの故郷」（二〇〇〇年四月号） ・第八回 獄門島・悪霊島 「横溝正史への旅 Part2」（二〇〇〇年九月号） 横溝作品を読み、その作品の舞台を旅してみる。フィ クションとはいえ、自分の思い描いていた風景に出会う 醍醐味が、そこにあると思う。自分の知っている町 や故郷が、作品の舞台に描かれていると、その作品に親 近感が持たれ、実際、横溝作品「孔雀屏風」に、筆者の 生まれ故郷・尾道を発見した時は、嬉しくなった。これ までに「横溝正史への旅」、とりわけ岡山・瀬戸内海方 面は、数多く紹介されているので、そのいくつかを以前 ウェブサイトで紹介したところ、「るるぶ岡山」「るる ぶチボリ」の編集担当の方より、「るるぶ」で何度か、 「横溝正史」「金田一耕助」関連の特集を編んだことが ある旨、連絡をいただいたことがある。「るるぶ岡山版」 が横溝正史を旅するガイドブックだったとは露知らず。 信州版「るるぶ」に、同様な特集記事があるか否かまで は、筆者の調査が及んでおらず、申し訳なく思う次第。 ここに挙げる「るるぶ岡山」の「横溝正史」「金田一 耕助」関連の特集記事は、いずれも二十年以上前のもの であることを、先にお断りしておく。 「るるぶ岡山'92」（ＪＴＢ出版事業局／一九九二年三月） 岡山ミステリ紀行「金田一耕助の足跡を訪ねて」、 磯川リカ ・プロローグ ・本陣殺人事件の一柳家を探して ・獄門島へのささやかな船旅 ・八つ墓村のたたりじゃ紀行 ・悪魔の手毬唄を県境の峠に聞く ・悪霊島の島影は大橋の彼方に ・エピローグ 「るるぶ岡山'96」（ＪＴＢ出版事業局／ 一九九五年十二月） 「金田一耕助のふるさと」吉備郡真備町岡田地区を 歩く ・イラストマップ ・そのほか、こんなに!?岡山県内金田一耕助スポット 「るるぶ倉敷チボリ吉備路２００１」 （ＪＴＢ出版事業局／二〇〇一年三月） 備讃瀬戸に浮かぶ（はずの）まぼろしの島影を探して ・刑部島 ・獄門島（ほかに、犬墓島、奇里島、八島を紹介） 「るるぶ岡山'02」（ＪＴＢ出版事業局／ 二〇〇一年十二月） ・「横溝映画ロケ地徹底ガイド」 「獄門島」（１９７７）「八つ墓村」（１９７７） 「悪霊島」（１９８１）「八つ墓村」（１９９６） 「るるぶ」や「まっぷる」だけでなく、「横溝正史への 旅」に出かけるためのガイドブックとして、筆者が思い つくものもいくつか紹介する。 「獄門島」「悪霊島」を探したりする旅を通して、横 溝正史作品の違った楽しみ方を発見できるかもしれない。 ・かもよしひさ「金田一耕助岡山足跡図金田一さんの 岡山」 中島河太郎・編『名探偵読本８ 金田一耕助』 （パシフィカ／昭和五十四年十一月） ※「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「獄門島」 「人面瘡」「鴉」「夜歩く」「八つ墓村」「湖泥」 「蜃気楼島の情熱」「首」「悪魔の手毬唄」が取り 挙げられている。 ・「金田一耕助の東京東京の名探偵」 桜井一『ミステリマップ 名探偵たちの足あと』 （早川書房／一九八二年七月） ※東京エリアでの作品舞台が網羅されており、その緻 密さには驚かされる。 ・折原一「ミステリ紀行 横溝正史の旅 八つ墓村へ行こう」 鮎川哲也・編『鮎川哲也と十三の謎'90』 （東京創元社／一九九〇年十二月） ※「本陣殺人事件」「八つ墓村」「獄門島」が取り挙 げられており、四泊五日の［おすすめモデルコース］ が紹介されている。 ・青山融「岡山県内 金田一耕助スポットを求めて」 手塚隆幸・編『金田一耕助研究』 （同人誌／一九九五年一月） ※金田一もの七十七作中、岡山もの全十三作（「本陣 殺人事件」「獄門島」「夜歩く」「八つ墓村」「死 仮面」「鴉」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「車井戸 はなぜ軋る」「首」「悪魔の手毬唄」「人面瘡」 「悪霊島」） が取り挙げられている。青山融氏は、ビデオ『横溝 の「岡山」を訪ねて』でスーパーバイザとして参画。 ・青山融「金田一耕助の生まれた里へ 真備町ふるさと歴史館をたずねて」 「創元推理」９号 ※「本陣殺人事件」「空蝉処女」が取り挙げられてお り、「真備町ふるさと歴史館」が紹介されている。 ・「冒険の旅 金田一耕助的冒険 八つ墓村、勝手に想定 ツアー。」 「備後生活向上マガジン Ｗｉｎｋ」№133／ 一九九六年八月 ・「金田一マップ」（名探偵アカデミー・編 『名探偵デジタルファイル 金田一耕助』 （プレス・コーポレーション／一九九六年十月） ※ＣＤーＲＯＭ媒体を活かしたデジタル資料で、東京 都・長野県・静岡県・岡山県の作品舞台と神戸市を、 地図とサブウィンドウ表示で紹介している。 ・「金田一耕助の「事件記録」地図」 金田一ファミリー研究会・編『金田一ファミリーの謎』 （飛鳥新社／一九九六年十二月） ※金田一耕助全作品の舞台を、日本地図上で確認でき、 北海道、東京、千葉、神奈川、長野、静岡、兵庫、 岡山、広島に印がある。データ上は、その他の府県 に関連する金田一作品は、執筆されなかったことに なる。 ・田中健太郎「横溝の岡山を訪ねる下準備横溝の作品 リスト」 ・浅井秀明「横溝の岡山の訪ね方横溝の岡山マップ」 創元推理倶楽部広島・岡山分科会『MAKING OF 横 溝の「岡山」を訪ねて』（同人誌／一九九八年十二月） ※ビデオ『横溝の「岡山」を訪ねて』のメイキング 本（小冊子）だが、作品舞台の比定・映画ロケ地の 紹介など、参考になる。「本陣殺人事件」「獄門島」 「夜歩く」「八つ墓村」「死仮面」「鴉」「湖泥」 「蜃気楼島の情熱」「車井戸はなぜ軋る」「首」 「悪魔の手毬唄」「人面瘡」「悪霊島」が取り挙げ られている。 ・佐竹裕之「「金田一耕助」駅を訪ねて」 創元推理倶楽部秋田分科会・編『新版 横溝正史の世 界』（同人誌／一九九九年十二月） ※「金田一耕助」を冠した、井原鉄道井原線「川辺宿 駅」を紹介。 ・浜田知明「「鏡が浦」はどこにある」 創元推理倶楽部秋田分科会編・『新版 横溝正史の世 界』 ※「鏡が浦の殺人」「傘の中の女」の舞台である「鏡 が浦」を、特定している。 作品舞台の想像地図として、雑誌「月刊ＯＵＴ」昭和 五十二年五月創刊号に「八つ墓村」、『私の書斎Ⅲ』 （竹井出版 現･致知出版社／昭和五十四年九月）収録の 横溝正史のエッセイ「金田一耕助はなお消えず」に「獄 門島」と「鬼首村」が、それぞれが掲載されている。 「金田一耕助はなお消えず」は、角川書店・編『横溝正 史に捧ぐ新世紀からの手紙』（角川書店／二〇〇二年五 月）にも再録されている。 『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』の泉麻人「成城 学園「ヨコミゾ作品事件現場を歩く」」では、横溝作品 中「Ｓ町」「Ｓ学園」と表記された、世田谷の成城学園 周辺を散策している。さらに、岩井志麻子「金田一耕 助を追いきれなかった岡山の旅」では、八つ墓村編・本 陣殺人事件編・獄門島編のそれぞれで、現地に訪れたエ ッセイが記されている。 『岡山文庫２７２ 岡山ぶらりスケッチ紀行』（南一 平・画、網本善光・文。日本文教出版／二〇一一年六 月）のうち「名探偵金田一耕助 作品の地ぶらりスケッ チ」は、「中国新聞」に二〇〇三年から二〇〇四年にか けて、夏秋冬春のひと月ごと週一で連載された記事を、 刊本にしたものである。 ２ 井原線 ―各駅停車ぶらりスケッチ― 横溝正史の疎開宅 川辺宿駅 真備町の大池 番外･川辺宿駅再び［空蝉処女］ ３ 名探偵金田一耕助 作品の地ぶらりスケッチ 本陣殺人事件（倉敷市真備町） 獄門島（笠岡市） 車井戸はなぜ軋る（美作市） 夜歩く（真庭市） 八つ墓村（上）（新見市） 八つ墓村（中）（高梁市） 八つ墓村（下）（鳥取県日野町）ちょっと寄り道 獄門島・悪霊島（笠岡市） 人面瘡（鏡野町） 鴉（赤磐市） 蜃気楼島の情熱（浅口市） 悪魔の手毬唄（美作市） 死仮面（岡山市） 湖泥（笠岡市） 首（美作市） 悪霊島（倉敷市） 悪霊島（笠岡市） ・木魚庵・文、ＹＯＵＣＨＡＮ・絵『金田一耕助語辞 典』（誠文堂新光社／二〇二〇年九月）表裏見返しに は「金田一耕助事件ＭＡＰ地方編（長野、静岡・神奈 川・千葉、岡山、兵庫）・東京編」として、ジュヴナ イル七作品を含む金田一耕助もの全八十四件の発生、 因縁の地が紹介されている。 お気に入りの横溝作品とともに横溝正史を旅するのも、 一つの楽しみ方であろう。例えば、「八つ墓村」の鍾乳 洞の地図を想像しながら、各地の鍾乳洞を観て巡るのも、 ある意味「横溝正史を旅する」ことに繋がるのでは、と 考える次第。はたまた、「本陣殺人事件」と「病院坂の 首縊りの家」を携えて、アメリカ西海岸のサンフランシ スコやロサンゼルスを訪れるというのも、横溝正史を旅 する上で、それはそれでアリではと思う次第。 さらに、「生誕の地、神戸」で紹介した、野村恒彦 『探偵小説の街･神戸』（エレガントライフ／二〇一三 年十月）を携えて、横溝正史生誕の地・神戸を闊歩して みてはいかがだろうか。その際に参考となる副読本を掲 げておきたい。 ・野村恒彦『神戸70s青春古書街図』 （神戸新聞総合出版センター／二〇〇九年三月） ・大国正美・編著『古地図で楽しむ神戸』 （爽ＢＯＯＫＳ／二〇一九年十二月） |
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