2018/1/16付刊行の、岩波文庫『江戸川乱歩作品集II 陰獣･黒蜥蜴 他』(浜田雄介編)のカバー写真に、目が釘付けになった横溝ファンもいたと聞く(^^;)。そのカバーには、下記の通り記されている。 探偵作家による寸劇「ユリエ殺し」の一場面(大正15年9月24日)。(左)江戸川乱歩、(中央)横溝正史。「解説」末尾の「カバー写真について」参照。 当サイトでも、この文士劇について記された刊本として、『芝居を愛した作家たち 文士劇の百二十年』(道又力, 文藝春秋, 2013/11)や『週刊マンガ世界の偉人26 江戸川乱歩』(朝日新聞出版, 2012/8)などを紹介させていただきました。 この文士劇について、この『江戸川乱歩作品集II 陰獣･黒蜥蜴 他』の「解説」では、江戸川乱歩の回想「観客射殺事件」(『講談倶楽部』昭和11年8月号)を引用し、当事者江戸川乱歩の筆によって、探偵作家による寸劇「ユリエ殺し」を紹介している。 もう一人の当事者である横溝正史も、「「ユリエ殺し」の記」(『新青年』1926/12, Vol.7-No.14)というエッセイを記しているのをご存知だろうか。こちらは、論創ミステリ叢書35『横溝正史探偵小説選I』(論創社, 2008/8/30)に収録されている。 こちらの方は、「探偵趣味の会」主催「講演･映画･演劇の夕べ」の式次第まで記されている。それによれば、探偵劇「ユリエ殺し」は本位田準一作･演出の一幕二場ものということが分かる。その場に居合わせたかった…。 発表時期は異なるものの、寸劇「ユリエ殺し」について、当事者であった江戸川乱歩と横溝正史の二人が書き残している事実を、この文庫が改めて思い知らせてくれました。有り難いです。この文庫の存在をご教示いただいた方々に感謝します。 関連ページ： ・ほぼ週刊・本棚から横溝正史 (155) 『芝居を愛した作家たち 文士劇の百二十年』(道又力, 文藝春秋, '13/11) (113) 『週刊マンガ世界の偉人26 江戸川乱歩』(朝日新聞出版, '12/8) |
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