| |
「横溝正史が愛用した文房堂製原稿用紙」という商品が、復刻・販売されている(原稿用紙20枚綴り, 税込価格:2,592円, 2014/11)。情報としては少し古いですが…。
商品の帯には、次のように記されている。
品質にこだわりぬいた当時の文房堂製原稿用紙は、明治、大正、昭和初期にかけて多くの人々に愛されました。
横溝正史「鬼火」、中原中也「朝の歌」「羊の歌」、有島武郎「或る女」「旅する心」、小林多喜二「蟹工船」などの名作が書かれた他、北原白秋、萩原朔太郎、斎藤茂吉、石井柏亭、梶井基次郎、山本有三、直木三十五、堺 利彦、高畠素之、東郷青児、水原秋桜子、網野菊、尾崎一雄、久保田万太郎など多くの作家・芸術家に使われました。
原稿用紙20枚綴りの表紙は、横溝正史の『鬼火』直筆原稿(1枚め)を写真製版により復刻したものとなっています。この『鬼火』直筆原稿については、『小説 野性時代』第128号(2014/7)の特集「保存版 永遠の横溝正史」で紹介されています。『鬼火』直筆原稿は、全部で400字詰め原稿用紙156枚分あり、完全な状態で保管されているそうです。その1枚目の写真が特集で掲載・紹介されていましたが、こちらの方は現物に最も近い形になっています。
この原稿用紙の特徴は、以下の通りです。
・原稿用紙の大きさは当時のものを忠実に再現しました。
当時の横溝正史の気分をそのままに味わっていただけます。
・中の原稿用紙に印刷されている「東京 文房堂製」という文字は、現代では
使われていない活版文字を当時のまま再現しました。
・用紙には保存性にも優れた中性抄き用紙を使用しました。
風合いのある淡クリーム地で目にやさしく、なめらかな紙面は筆運びもスムーズ
です。また、インクのにじみや裏抜けもしにくい、上級の原稿用紙です。
特典として、角川文庫旧版緑304-21(1975/8)の表紙カバー画(杉本一文イラストレーション「鬼火」)の複製原画(約B4サイズ)が、もれなく付いてきます。
『小説 野性時代』第128号(2014/7)や藍峯舎版(2015/6)で、「結核のため、創作から離れていた正史が再起を期し、1日半時間、400字詰原稿用紙2枚のペースで書き進め、約3ケ月をかけて完成させた戦前の代表作」である、『鬼火 オリジナル完全版』を活字で読むことが可能となりました。
夏目漱石「坊っちゃん」, 太宰治「人間失格」などは、集英社新書ヴィジュアル版「直筆で読む」シリーズが刊行されています。宮沢賢治「銀河鉄道の夜」もまた、『図録 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の原稿のすべて』(宮沢賢治記念館, 1997/3)にて、直筆原稿を読むことが可能です。横溝正史『鬼火』直筆原稿も、1枚目だけでなく156枚全てを、読むことが可能となる日を来ることを、切に願う次第である。
|