横溝作品へのアプローチ・『びっくり箱殺人事件』ラジオドラマ(文士劇)を読む・

横溝作品へのアプローチ・『びっくり箱殺人事件』ラジオドラマ(文士劇)を読む・｜ラジオドラマを聞く｜ラジオドラマを読む｜

ラジオドラマ(文士劇)を読む　 - 『びっくり箱殺人事件』 -

角川文庫『びっくり箱殺人事件』(緑304-17, 1975年1月初版)の巻末解説を読み、 1949(昭和24)年12月にJOAK(NHK)でラジオ放送された、文士劇「ビックリ箱殺人事件」の存在を知りました。その当時の「どうやったら聞くことができるんだ」という思いは、『北村薫のミステリびっくり箱』(角川書店, 2007/11刊行)の付録秘蔵音源CDで満たされました。そのラジオドラマをCDで聴き、隔世の思いでいた私。音源は、江戸川乱歩がレコードにして保存していたものだそうです。惜しむらくは、原作者の横溝正史が出演していないこと。

角川文庫『北村薫のミステリびっくり箱』

単行本『北村薫のミステリびっくり箱』の「第六回　声　「声」が伝える豊かな世界」の項では、ラジオドラマ「びっくり箱殺人事件」冒頭部分を放送から書き起こし(p.73)たものが、掲載されており、登場人物・出演者が分かります。雑誌『宝石』昭和25(1950)年4月号に、放送台本が収録されていることまでは分かっていたものの、掲載誌に当たるということを怠っていたところ、このほど刊行(2010/9/25付)された『北村薫のミステリびっくり箱』の角川文庫版に、その台本が文庫ならではの《おまけ》(p.255)として収録されていました(p.132-144)。

角川文庫『びっくり箱殺人事件』刊行(1975/1)から、35年を経て2010年9月に、音源のみならずテキスト(台本)まで容易に入手でき、このラジオドラマを聴き・読むことができるようになりました。ただ、残念なのは、2010年10月現在、角川文庫に現行本はなく『びっくり箱殺人事件』を容易に入手できないことです。