「今日も先輩の話を聞いてみよう」で始まる「拝啓青春諸君!」で、
「今週の先輩は探偵小説この道50年、作家の横溝正史さんです」と紹介されています。 各回を当方にて要約してみました。 ◆11/29(月) 「売れに売れている話」 ブームは、どういうわけでこういうことになったのか、作者自身が五里霧中。 最近の読者は、フランク・率直な方が多い。 横溝先生にではなく、金田一耕助さんへのファンレターばかり。 どういうわけか近頃は女性からのファンレターが多い。 自作を「探偵小説」と呼んでいる。 小学生時代(10-12,3才)、探偵小説に興味を持った。 最初はルパンの翻案ものに感動した。 趣味が高じて仕事になった。 ◆11/30(火) 「金田一耕助について」 名前の由来は、疎開先の岡山にてラジオで、菊田一夫の鐘の鳴る丘を聞き、 彼を懐かしく思ったのがきっかけ。 当初は、キクタイチと呼んでいたが、そういう名字はない。 吉祥寺の隣組にいた金田一京助のご令弟を連想、耕助は金田一「京助」のもじりで、 ぼくは「耕」という字が好きらしい。 石坂金田一は二枚目過ぎるが、あの扮装はよく考えたと思う。 金田一耕助は、ノーセックスだろうといわれている。 60才の金田一を書いていたら悲しくなっちゃった 金田一耕助はアメリカへ行っちゃって、行方不明にしちゃうの。 ひょっこり帰ってきた老後の金田一を書くかも。 それよりも前の事件を掘り起こして、もっと若き日の金田一ものを書こうと思っている。 ◆12/1(水) 「探偵小説の書き方」 まずよく読むことが必須条件=はじめは乱読が一番。めちゃくちゃに。 その後で作家を選んで、読み進めては。 探偵小説は、トリックが大事。 最近はコンピュータ操作とかあるので、金田一耕助はすでに不自然。 ぼくのものはアンチリアルだから受けてるらしいんだね。 「本陣殺人事件」が好きだが、あれは習作。これぞ探偵小説は「獄門島」。 外国の探偵小説が創作のヒント,「脳細胞が刺激されてボクも」となる。 マニアじゃなければ、探偵小説だけは書けない。 ◆12/2(木) 「江戸川乱歩との関係・影響を受けた作家」 注目している作家は森村誠一で、とにかく熱心で誠実。 ぼくは、乱歩にどういうわけか可愛がられた。 乱歩とのつながりがなければ、薬屋をして投稿していたかも。 乱歩と正史をライバル視している人は、乱歩とぼくとの関係を知らない 活動年代が違う、乱歩は戦前、ぼくは戦後の作家。 一番影響を受けた作家は、ディクスン・カー。ストーリテラーでアンチリアルの感じがする。 お化け・幽霊は全然信じない。 ◆12/3(金) 「横溝正史の日常生活・素顔」 ラジオでプロ野球をよく聞く。ぼくは近鉄のファンで通っている。 王選手が好きだが、アンチジャイアンツ。 音楽は主にクラシックだが、TVで歌番組をよく見る。 ぼくは百恵ちゃんのサインを持っているよ。 一番好きな歌手は、演歌調がすきだから都はるみ。 朝起きて散歩。午後1-3時は昼寝。仕事。百恵ちゃんを見てお酒。 ぼくがライバル視しているのは、年齢的にはクリスティ。 ぼくもそうありたい。 この放送は下記のように雑誌記事で紹介され、好評を博したようである。 ■「横溝正史先生は百恵ちゃんのファン?」(週刊明星,1976/12/5, p.171) 毎週異色ゲストを迎えてヤングに語りかけるニッポン放送の本格的トーク番組『拝啓青春諸君!』("大入りダイヤルまた宵の口"の一コーナー)では、11月29日(月)から1週間にわたって、いま映画や文庫本で空前のブームをよんでいる作家の横溝正史氏をゲストに迎える。 先日、5回分の録音が行われたが、横溝氏は年のせいか休み休みではあったが、ゴキゲンで、おなじみの名探偵、金田一耕助は、最後にはアメリカへ行って行方不明にさせて終らせようと思う、など、さまざまな面白い話を聞かせてくれた。 なかでも意外だったのは、同氏が山口百恵の大ファンでサインまで持っていたということ。 横溝氏は仕事はいつも朝から昼頃まで。夜はもっぱら寝酒を飲んで、9時頃には床に入ってしまう。そのため、たいへんな映画好きだがテレビの映画劇場は見られず、自然、8時代台の歌番組ばかり見ることになる。そこで歌謡曲が好きになり、山口百恵のファンにもなったというわけだ。 百恵チャンにつぐ横溝先生のごひいきは都はるみ。最近『北の宿から』の大ヒットでゴキゲンだったという。 こんな若さがヤングに知れわたると、横溝作品の文庫本はますます売れるかも……。 ■「人くちひと口☆横溝正史★」(サンデー毎日,1976/12/12,p.34) ☆横溝正史★文庫本が一八○○万部売れ、映画『犬神家の一族』が大ヒットして、いまや空前のブームを呼んでいるが、二十九日から五日間、ニッポン放送の『拝啓青春諸君』(午後十時四十分〜五十分)に出演。"名探偵"金田一耕助のモデルはという質問に「菊田一夫さんの風貌がまず浮かんでね。しかし菊田一夫じゃ変だなと思っていたところ、近所に住んでいた金田一京助さんを思い出し金田一耕助となったわけさ。金田一耕助は最後には、アメリカにやって行方不明にしてしまうよ」と興味深い話も。日常生活では、歌謡番組もよく見るとかで、山口百恵、都はるみの大ファンで、サインも持っているとのこと。 |
横溝正史の出演した「ラジオやテレビ番組」について ご存知の方、ぜひご一報ください。 |
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