| No. | 作品名/語り始めのことば |
| 1 | 本陣殺人事件
この稿を起こすにあたって、私は一度あの恐ろしい |
| 2 | 獄門島
備中笠岡から南へ七里、瀬戸内海のほぼなかほど、 |
| 3 | 蝙蝠と蛞蝓
およそ世の中になにがいやだといって、蝙蝠ほどい |
| 4 | 黒猫亭事件 原題「黒猫」
拝啓、その後は御無沙汰。いつかのお便りによると |
| 5 | 殺人鬼
西洋のある小説家のせつによると、五百人に一人の |
| 6 | 黒蘭姫
変事が起こる場合には、何もかもがそういうまわり |
| 7 | 夜歩く
「とにかく困った。何しろ正気の沙汰とは思えん。 |
| 8 | 八つ墓村
八つ墓村というのは、鳥取県と岡山県の県境にある |
| 9 | 死仮面
……その女のいのちは眼にありました。いくらか碧 |
| 10 | 犬神家の一族
信州財界の一巨頭、犬神財閥の創始者、日本の生糸 |
| 11 | 女怪
この物語には発端がある。昭和二十Ｘ年の夏のこと |
| 12 | 百日紅の下にて
それは戦争が終わってから、ちょうど一年経った昭 |
| 13 | 女王蜂
伊豆の下田から南方へ海上七里、そこに地図にもの |
| 14 | 鴉
「これでも昔はずいぶんはやった神様なんですがね |
| 15 | 悪魔が来りて笛を吹く
いま筆をとってこの恐ろしい物語の、最初の章を書 |
| 16 | 幽霊座
駒形橋の西詰、駒形堂のある三叉路から、雷門へむ |
| 17 | 湖泥
「あんたにこんなことをいうのは、釈迦に説法みた |
| 18 | 不死蝶 (雑誌連載版)
汽車がトンネルを出ると急に涼しくなった。まるで |
| 19 | 生ける死仮面
上田秋成の名作『雨月物語』のなかに、『青頭巾』 |
| 20 | 幽霊男
神田神保町の裏通りにある、共栄美術倶楽部という |
| 21 | 花園の悪魔
そこは東京都の中心をめぐって走る環状線のとある |
| 22 | 迷路の花嫁
戦災をうけた町と、うけない町はこれだけちがう… |
| 23 | 堕ちたる天女
そこは東京都でも交通量の多いところで、有数な交 |
| 24 | 蜃気楼島の情熱
「いったい、アメリカみたいな国からかえってきて |
| 25 | 睡れる花嫁 原題「妖獣」
ちかごろは凶悪な犯罪や陰惨な事件がつぎからつぎ |
| 26 | 吸血蛾
「君、君……」ほのぐらい間接照明のグリルの一隅 |
| 27 | 三つ首塔
私はとうとう三つ首塔をはるかに臨む、たそがれ峠 |
| 28 | 首 「悪霊」を改稿
「ほら、あの岩なんですがね。滝の途中にひらたい |
| 29 | 車井戸はなぜ軋る 「車井戸は何故軋る」を改稿
本位田家の墓地は、Ｋ村をいだく丘の中腹にある。 |
| 30 | 廃園の鬼
「なるほど、これは風変わりな建物ですな。こんな |
| 31 | 毒の矢 同題作品の原型
拝啓 あなたの奥さんは同性愛のたわむれにふけっ |
| 32 | 蝋美人
法医学会の名物男、天才とよぶひともある反面、山 |
| 33 | 黒い翼
世の中にはときどき妙なもの、変なことがはやるこ |
| 34 | 死神の矢 同題作品の原型
「すると、さしずめ新ユリシーズというわけですね |
| 35 | 毒の矢 同題作品の長編化
拝啓。あなたの奥さんは同性愛のたわむれにふけっ |
| 36 | 魔女の暦 同題作品の原型
飛鳥京子と霧島ハルミ、それに紀藤珠代の三人に、 |
| 37 | 死神の矢
金田一耕助のような職業に従事していれば、常人の |
| 38 | 暗闇の中の猫 「双生児は踊る」を改稿
金田一耕助探偵譚の記録者である筆者は、いつか彼 |
| 39 | 夢の中の女 原題「黒衣の女」
金田一耕助のような職業に従事するものは、おそら |
| 40 | 迷路荘の怪人 同題中編の原型
名琅荘というのは東海道線の富士にちかい駅から、 |
| 41 | 七つの仮面 「聖女の首」を改稿
−いまになってもひとはあたしのことを、どうかす |
| 42 | 華やかな野獣
本牧の吉田御殿−。と、いうあんまりかんばしくな |
| 43 | トランプ台上の首 同題作品の原型
世の中にはいろいろかわった商売があればあるもの |
| 44 | 霧の中の女
ひどい霧だった、その晩の東京は。ことに九時から |
| 45 | 女の決闘 原題「憑かれた女」
ジェームス・ロビンソンさんのさよならパーティー |
| 46 | 泥の中の顔 「泥の中の女」原型
立花ヤス子はすっかりとほうに暮れてしまった。い |
| 47 | 鞄の中の女
「ああ、もしもし……金田一先生のおたくでいらっ |
| 48 | 鏡の中の女
「増本先生、どうかしましたか」増本女史の一種異 |
| 49 | 傘の中の女
「あらあ、いやだあ……うっふっふ。それじゃまる |
| 50 | 鏡が浦の殺人
「先生、もうおよしなさいましよ。年がいもないと |
| 51 | 貸しボート十三号 同題作品の原型
さすがの金田一耕助も、血におおわれたそのボート |
| 52 | 檻の中の女
「おや、警部さん、あの音はなんでしょう」「えっ |
| 53 | 悪魔の手毬唄
私の友人のやっている雑誌に「民間承伝」という小 |
| 54 | 壺の中の女 「壺中美人」原型
金田一耕助が後日問題となった、あの「壺中美人」 |
| 55 | 渦の中の女 「白と黒」原型
Ladies and Gentleman and Otottuan Okkasan, |
| 56 | 支那扇の女 「ペルシャ猫を抱く女」「肖像画」を改稿
この一文を起草しているわたしの机のうえには、い |
| 57 | 扉の中の女 「扉の影の女」原型
緑ケ丘町の緑ケ丘荘へ、金田一耕助を訪ねてきたそ |
| 58 | 悪魔の降誕祭 同題作品の原型
「ああ、もしもし、はあはあ……ええ、こちら緑ヶ |
| 59 | 洞の中の女
その家は半年あまりも空き家になっていた。月に四 |
| 60 | 柩の中の女
上野の美術館の裏門からはいっていった赤星運送店 |
| 61 | 不死蝶
汽車がトンネルを出ると急に涼しくなった。まるで |
| 62 | 火の十字架
「警部さん、よろこんでください。ぼくもおいおい |
| 63 | 赤の中の女 「赤い水泳着」を改稿
「あら！ちょっと……」「はあ」「失礼ですけれど |
| 64 | ハートのクイン 「スペードの女王」原型
世田ヶ谷区緑ヶ丘町、緑ヶ丘荘の二階三号、すなわ |
| 65 | 瞳の中の女
やかましいラウドスピーカーの叫び、けたたましい |
| 66 | 薔薇の別荘
「三枝子さん、今夜の会の用意は万事順調にすすん |
| 67 | 悪魔の寵児
この恐ろしい物語は一枚のハガキからはじまる。 |
| 68 | 悪魔の降誕祭 同題作品の原型
「ああ、もしもし、ええ、さようでございます。こ |
| 69 | 魔女の暦
「いいか。その三人の魔女というのは、三人でひと |
| 70 | 貸しボート十三号
金田一耕助は職業柄、いままでずいぶんいろんな変 |
| 71 | 香水心中
「さあ、これからが大変なんですから、金田一先生 |
| 72 | 霧の別荘 「霧の山荘」原型
金田一耕助は文字通り途方にくれてしまった。そこ |
| 73 | 迷路荘の怪人 「迷路荘の惨劇」原型
名琅荘というのは東海道線の富士にちかい駅から、 |
| 74 | トランプ台上の首
世の中には、いろいろかわった商売があればあるも |
| 75 | スペードの女王 「ハートのクイン」を改稿
世田ヶ谷区緑ヶ丘町にある高級アパート、緑ヶ丘荘 |
| 76 | 支那扇の女
この一文を起草しているわたしの机のうえには、い |
| 77 | 人面瘡 同題作品を改稿
「警部さん、警部さん、もし、磯川警部さん、恐れ |
| 78 | 雌蛭
卓上電話の受話器をおくと、金田一耕助は腕の時計 |
| 79 | 壺中美人
金田一耕助が後日問題となった「壺中美人」という |
| 80 | 泥の中の女 「泥の中の顔」を改稿
立花ヤス子はすっかりとほうに暮れてしまった。く |
| 81 | 白と黒 「渦の中の女」改稿
詩人のＳ・Ｙ先生は、ある朝、散歩の途次、世にも |
| 82 | 扉の影の女 「扉の中の女」改稿
緑ヶ丘町緑ヶ丘荘の二階三号室、金田一耕助のフラ |
| 83 | 霧の山荘 「霧の別荘」改稿
金田一耕助は文字通り途方にくれてしまった。にっ |
| 84 | 百唇譜 「悪魔の百唇譜」原型
ことしは空梅雨の懸念濃厚だったが、さりとて一日 |
| 85 | 猟奇の始末書
「いやはや、三井さん、このお暑いなかをあいもか |
| 86 | 日時計の中の女
「豪華な家ねえ。これでまだ建て増しをするという |
| 87 | 悪魔の百唇譜
ことしは空梅雨の懸念濃厚という気象庁の予報だっ |
| 88 | 青蜥蜴 「夜の黒豹」原型
そのとき犯人がもっと用心ぶかく、ドアをぴったり |
| 89 | 猫館
猫館……と、付近でそう呼ばれているその古館は、 |
| 90 | 蝙蝠男
デスクの上の置時計は一時五分をさしている。十二 |
| 91 | 夜の黒豹 「青蜥蜴」を改稿
あのとき犯人がもっと用心深くドアを締めていった |
| 92 | 仮面舞踏会 同題中絶作品を改稿
泉の里からゆっくり登って半時間、土地の人がニド |
| 93 | 迷路荘の惨劇 「迷路荘の怪人」を改稿
名琅荘というのは東海道線の富士駅から東北約一里 |
| 94 | 病院坂の首縊りの家 「病院横町の首縊りの家」改稿
いま私の机上には東京都区分詳細図、全二十三区の |
| 95 | 悪霊島
……(雑音、雑音、また雑音、人びとのののしりわめ |
| ◆ | ボーナストラック |
| B1 | 匂う抽斗 (誰が犯人か？)
「キャッー、人殺しいッ、助けてえッ！」けたたま |
| B2 | 目撃者 (誰が犯人か？)
「金田一先生ですね」未決監房からひき出された緑 |
※昭和探偵小説研究会編『横溝正史 全小説案内』（洋泉社
