｢横溝正史｣文庫の整理学
- 角川文庫　新版 -

角川･横溝文庫には大きく分けて、新旧２種類のシリーズがある。 横溝ブームの頃の「緑304」と、その後の「よ-５」と。 「緑304」から「よ-５」への移行時に、 全90冊ある文庫タイトルの半数以上が絶版状態となったため、 横溝読破を目指す場合は、「緑304」を探求する必要がある。 「よ-５」シリーズには、背表紙とナンバリングの異なる新旧２種類ある。 ここでは便宜上、黒地に黄緑文字背表紙を「旧よ５」，ライトグレー地に黒文字背表紙を「新よ５」と区別しました。

角川 旧よ５シリーズ
よ５シリーズは、 No.1〜49まである。No.16,20,21,22,24,37,41〜47は、よ５シリーズに移行して すぐに欠番になった模様。 このシリーズは、黒地に黄緑文字背表紙の文庫に統一されている。 欠番に関する考察を、Missing Numbersを探せ！にまとめましたので、 併せてご覧下さい。 緑304-43「花園の悪魔」は金田一耕助ファイル11「首」と改題後、 よ5-984となった。なぜ984かは不明。 No.48｢金田一耕助のモノローグ｣は、よ5シリーズ改編後に文庫初登場。 No.49｢人面瘡｣は、緑304-17,20(よ5-15), 30,33,37収録の金田一もの中短編を一冊にまとめたもの。
このシリーズ後期に、「金田一耕助ファイル」と背表紙に白抜き文字が記された20タイトルが登場した。 '97/4月中旬より、新よ５シリーズに置き換えが行われたため、このシリーズが、「黒地に緑文字背表紙」の最後となった。

角川 新よ５シリーズ(リストはここをクリック！)
'97/4月中旬より、ライトグレー地黒文字背表紙の文庫に変更された。その際、旧よ５シリーズ後期に刊行された「金田一耕助ファイル」シリーズの20タイトルを、そのまま文庫ナンバリングの前半へ移行し、これら以外の文庫を後半のナンバリングへ変更。 この20タイトルの文庫のみ、緑304時代にあった「解説」が、旧よ５シリーズ後期「金田一耕助ファイル」以降、省略されている。 現行の角川文庫で「金田一耕助ファイル」と銘打ったものは20タイトルしかないためか、「金田一」作品を収録した文庫はほかにないと思われがちだが、「金田一耕助ファイル」と銘打っていない文庫タイトルが数点あるので、紛らわしい。 「金田一耕助ファイル」改！を参照下さい。 角川文庫の「死仮面」は、中島河太郎補筆版で、その完全版は春陽文庫に収録されている。作品解説では、「この分が発見されたら当然差し替えねばならない」と記述されているので、いつか完全版に置換されるの？

角川スニーカー文庫
'96/12月に、｢金田一耕助走る｣と題し、絶版･品切れとなっていた推理ジュヴナイル７タイトルが復刊された。表紙カバーの絵が、杉本一文からＪＥＴに変わった。 背表紙は、黒地に白ゴシック文字に統一されている。

角川Mini文庫
東宝映画「八つ墓村」公開に合わせ、この次の事件と銘打ち「女怪」の１タイトルのみ刊行。まだ売っているかなぁ？

角川ホラー文庫
'96/12月に、阿刀田高氏により<現代ホラー傑作選第6集>が編まれた。 '98/8月に、「新青年傑作選」と題し、雑誌「新青年」で活躍された探偵作家の アンソロジーが刊行された。 収録作家は錚々たる陣容である。 '00/9月に、『トランプ台上の首』刊行。 表題作と、貸しボート十三号，さらに、幻のエッセイ：探偵小説講座−横溝正史トリック評論集−も収録された。

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