映画版「金田一耕助」俳優について、原作者からのコメント
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映画版「金田一耕助」俳優
- 原作者からのコメント -

横溝正史は、「歴代金田一耕助の思い出」(雑誌『野性時代』(Vol.3-No.11, 1976/11)の 特集「金田一耕助」に収録)のなかで、それまでの金田一耕助映画について、 語っている。

いわゆる横溝ブーム以前、片岡千恵蔵,岡譲司,河津清三郎,池部良,高倉健らが、 銀幕で「金田一耕助」を演じてきた。彼らの出演作品については、 別途レポートすることとして、個人的にも馴染み深い、中尾彬以降の 金田一耕助について、原作者・横溝正史のコメントを集めてみました。 他の文献にも「原作者のコメント」はありますが、ほぼ同様な内容でした。


■中尾彬『本陣殺人事件』
「アートシアターNo.118」1975/9(徳間書店『横溝正史の世界』1976/3再録)
「本陣殺人事件」の封切をまえにして
この映画の中尾彬君の金田一耕助はいい。男振りや服装は原作のイメージと ちがっているが,ひかえめな演技,体臭から発散するさわやかさは, これはこれで可愛くて善良な金田一耕助として,私の金田一耕助ファンにも 共感を呼ぶであろうし,またそうあってほしいと祈っている。

■石坂浩二『犬神家の一族』〜『病院坂の首縊りの家』
『真説 金田一耕助』,毎日新聞社,1977/12 (角川文庫版1979/1)
「映画になった金田一耕助」
よれよれの着物によれよれの袴という石坂浩二君の金田一耕助も、 いささか二枚目過ぎるのを難として、原作者のイメージにわりと 近いようである。

■渥美清『八つ墓村』
「歴代金田一耕助の思い出」(特集「金田一耕助」,『野性時代』1976/11)
ちょっとゴツイかもしれないけれど、いいと思いますよ。 イメージは似ていますね。松竹さんで、和服で金田一耕助ができるのは、 渥美さんしかいないでしょう(製作開始前のコメント,映画ではご存知の通り"洋装"+麦わら帽)。

■西田敏行『悪魔が来りて笛を吹く』
東映映画『悪魔が来りて笛を吹く』パンフレット,1979/1
「悪魔が来りて笛を吹く」に寄せて思う
西田敏行さんは好感度ナンバー・ワンのタレントさんだそうだが、 私もこの三年ほど敏行さんのファンである。あの巧まぬユーモアの 底に漂う真摯な演技…というより人柄は、金田一耕助に打ってつけ だと思うからである。それに西田敏行さんは同時にベスト・ドレッサーだ そうである。その敏行さんが金田一耕助のオンボロ衣裳を、 いかに着こなしてくれるか、それも大きな楽しみのひとつである。

■鹿賀丈史『悪霊島』
東映映画『悪霊島』パンフレット,1981/10
いま再び、ミステリーの季節がめぐってきた,角川春樹との対談
これまでの中では、最も金田一耕助に似てるんじゃないの。 ぼくは、『Gメン75』でひいきだったから、彼がやるなら いいだろうと思っていた。うってつけすぎる位、うってつけだったね。

鹿賀丈史が、最後の金田一耕助として、本当に良かったと思ってる。


横溝正史映画関連の文献をご存じの方、
ぜひご一報ください。


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