メディアミックス横溝ブーム
- ＤＶＤ版・TV「横溝正史シリーズ」 -
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横溝正史ブーム当時の1977,78年、映画だけにとどまらず、TVドラマにおいて
「横溝正史シリーズ」と称し、数多くの横溝作品が映像化された。
一部原作では金田一耕助が登場しないものもあったが、すべて古谷一行が金田一耕助役を演じた。 この「古谷金田一」について、横溝正史は『真説 金田一耕助』の「横溝正史シリーズ」で 次のように語っている。 ここにまた新しい金田一耕助が誕生したが、その軽妙なキャラクターが この大時代な物語(犬神家の一族)からくる重っ苦しい雰囲気を救っている。 これからさきが楽しみな金田一耕助である。 1999/11-2000/8にかけ、このTVシリーズ全タイトルがDVD化された。 本編のみならず予告編も収録され、当時映画に劣らず人気のあった古谷金田一シリーズの すべてを、容易に鑑賞できるようになり嬉しい限りである。 横溝正史自身、このTVシリーズを注目していたようで、撮影スタジオ訪問までしている。 JOY 横溝正史氏がスタジオを訪問,週刊小説,1977/6/24,p.109 「横溝正史シリーズ」の原作者横溝氏が「三つ首塔」を制作中のスタジオをひょ っこり訪れ、金田一耕助の古谷一行らキャスト、スタッフを激励した。この日の 横溝氏は、愛用のステッキを携え腰に万歩計をブラリ、ブラリさせて、散歩がて らのセット訪問といったようす。「このシリーズは全部見てますよ。毎週見るた めにビデオ・カセットも買いました。豪華キャストの俳優さんは、そろって熱心 で、よく工夫してもらっています。横溝ブームの分析をよく頼まれるんですが、 ぽくにもよく分からないですよ」とニコニコ。とくに古谷には「大時代な話をヒ ョウヒョウとした古谷金田一が救ってくれています。なかなかいいですよ」とお ほめの言葉。 |
| 横溝正史シリーズ (毎日系毎土曜22:00-22:55,1977/4-10) | |||
|---|---|---|---|
| タイトル | 放映日 | 回数 | DVD発売 |
| 犬神家の一族 | 4/2,9,16,23,30 | ５回 | 1999/11(上) 1999/12(下) |
| 本陣殺人事件 | 5/7,14,21 | ３回 | 2000/3 |
| 三つ首塔 | 5/28,6/4,11,18 | ４回 | 1999/11 |
| 悪魔が来りて笛を吹く | 6/25,7/2,9,16,23 | ５回 | 2000/1(上) 2000/2(下) |
| 獄門島 | 7/30,8/6,13,20 | ４回 | 2000/8 |
| 悪魔の手毬唄 | 8/27,9/3,10,17,24,10/1 | ６回 | 2000/4(上) 2000/5(下) |
| 横溝正史シリーズII (毎日系毎土曜22:00-22:55,1978/4-10) | |||
| タイトル | 放映日 | 回数 | DVD発売 |
| 八つ墓村 | 4/8,15,22,29,5/6 | ５回 | 2000/6(上) 2000/7(下) |
| 真珠郎 | 5/13,20,27 | ３回 | 1999/12 |
| 仮面舞踏会 | 6/3,10,17,24 | ４回 | 2000/1 |
| 不死蝶 | 7/1,8,15 | ３回 | 2000/2 |
| 夜歩く | 7/22,29,8/5 | ３回 | 2000/4 |
| 女王蜂 | 8/12,19,26 | ３回 | 2000/3 |
| 黒猫亭事件 | 9/2,9 | ２回 | 2000/5 |
| 仮面劇場 | 9/16,23,30,10/7 | ４回 | 2000/6 |
| 迷路荘の惨劇 | 10/14,21,28 | ３回 | 2000/7 |
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好評を博したTV版は、翌年(1978)「横溝正史シリーズII」として続編が製作されることになる。 1978(昭和53)年５月４日、TBS『奥さま８時半です』に、横溝正史が古谷一行とともにゲスト出演した ときの模様を、雑誌「週刊明星」に発見した。 
「古谷一行の金田一はかわいいね」「名探偵のモデルは自分」と横溝正史氏, 週刊明星,1978/5/28,p.161 "金田一耕助シリーズ"の原作者、横溝正史夫妻と主演の古谷一行が顔をあわせた。 −金田一名探偵になるのに、どんな点を苦労しましたか? 古谷「こういうのはニガ手だっていう意識があったんです。ですから、それを克服するため、 作品の中で逆立ちやったりね」 −どうですか、古谷さんの金田一探偵は？ 横溝「なかなか、かわいいよ」 −先生がお書きになる時のイメージは、菊田一夫さんだそうですね。風貌はどうですか？ モジャモジャ頭でフケ落しているみたいな感じは、身近にいたんですか？ 横溝「それはぼくでしょうな」 −本当ですか、奥様？ 夫人「そうなんです。前はもっと髪がたくさんで、古谷さんより多いくらい。 それで頭を洗わないもんですからフケは落ちるし、洋服の肩なんかフケだらけ」 −すると、金田一耕肋を映画やテレビでご覧になると、 若き日のご主人を見ているような気がしませんか？ 夫人「そうそう」 −作品は岡山とか、瀬戸内海が舞台になることが多いようですが。 横溝「ええ。あちらの疎開先で書きはじめたものですからね」 −奥様も先生の作品はお読みになるんでしょう? 夫人「読みます。とにかく、早く犯人を知りたいと思ってね」 古谷「犯人を知りたい時、先生に聞かれますか?」 夫人「それはしません。聞くとやっぱり面臼くないから」 −最近の横溝ブームをどう思いいますか? 横溝「気恥かしいよ。昔書いたものぱかりでしょ。昭和36年頃書くのをやめて 永く沈黙してたのにこんなになって、尻がこそばゆいよ」(笑) 古谷・金田一は、1979/7月に公開された『金田一耕助の冒険』で 映画にも進出している。全編パロディの金田一映画というのも楽しい。 |
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