 『シャーロック・ホームズ語辞典』 ホームズにまつわる言葉をイラストと豆知識でパイプ片手に読み解く 北原尚彦(文), えのころ工房(絵), 誠文堂新光社, 2019/12/15, 本体1,600円+税 | |
内容項目は次の通り。
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シャーロック･ホームズに関するこの辞典に、「横溝正史」という項目があること自体、嬉しい限りである。その記述のうち、以下のふたつが気になった。 1931年から33年の改造社〈ドイル全集〉では何冊か翻訳をしたことになっているが、これは名義貸しで本人はやっていないことを横溝自身が証言している。 ↓ 惜しむらくは、出典が本書に明示されていないこと。「名義貸しで本人はやっていないことを横溝自身が証言している」と断定されているので、横溝正史翻訳作品 or NOTを確定する上からも、出典を明記してもらいたかった。 横溝が少年時代に読んだ「六つのナポレオン像」のナポレオン像を乃木将軍像に置き換えた翻案は長らく謎とされてきたが、『肖像の秘密』(高等探偵協会)であることが判明した。 ↓ これは、『横溝正史読本』(小林信彦編, 1976/9, 角川書店のち、1979/1角川文庫, 2008/9同改版初版)の、「第四部 クリスティーの死と英米の作家たち」の「最初のホームズ物は翻案だった」で、小林信彦の「一番はじめホームズをお読みになったのは原書ですか」の問いに対する、横溝正史が一番最初読んだという『シックス・ナポレオン』の翻案作品の調査結果と推察する。 ぼくが一番最初読んだのは『シックス・ナポレオン』だったな。あれはナポレオンの像を乃木大将の像に変えていた。乃木大将が割腹したのは明治四十五年でしょう、ぼくは大正四年に中学に入ってますよ。それで、いまの文庫本みたいな赤本だったですよ、乃木大将の像が順ぐりにこわされていくんだ、ぼくはすぐに、これは翻案だなと思ったけどね。それが一番最初だった。 | |
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さて、次回の「ほぼ週刊・本棚から横溝正史」は…。 キーワードは「？？？」です。お楽しみに！ |
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