横溝正史エンサイクロペディア・「黒衣の道化師」ウォンテッド! -未収録にして中絶作品?-
「黒衣の道化師」ウォンテッド!  - 未収録にして中絶作品? -

"黒衣の道化師"をキーワードにしてウェブ検索してみると、 「戦後日本 少年少女雑誌データベース」というサイトで、 横溝正史の作品情報が、ヒットします。
  少年野球画報
  出版期間:'50(昭25)年4月〜?
  出版社:野球画報社
  収録作品一覧
   少年探偵小説:黒衣の道化師 横溝正史x川村秀治


2008年5月にヤフオクで、この「少年野球画報」(陽春創刊号)と いう雑誌が、出品されていました(どなたかが、落札されたようです)。 出品情報として、雑誌表紙, 目次(川村秀治:挿絵と分かります)と 「黒衣の魔術師」掲載見開きページの写真が掲載され、 この作品が実在することが裏付けられました。

こうなりますと、全ての横溝正史作品を読みたい当方としては、 何とか少しでも情報を得られないかと、考えた次第です。

断片的ですが、この作品のことが少し分かっています。
・巻末では、(つづく)となっている
・登場人物:勇, 太一少年, 巡査, サンタクロース, 青柳博士
 (金田一, 由利, 三津木は、この回には登場していない, 次号以降は不明)
・「黒衣の魔術師」掲載見開きページには、次のように記されていました。
 道化の仮面を残していく神出鬼没の怪盗黒衣の道化師とは何者?
 クリスマスの夜、ダイヤモンドをめぐって大活劇がくりひろげられた!


世田谷文学館に所蔵されていると聞く、未発表版「深夜の魔術師」の改稿作品と、 考えている方もいらっしゃるようです。可能性は十分にあると思いますが、 如何せん、現物未チェックゆえ、想像の域を脱しないのが残念です。

雑誌「少年野球画報」は、創刊号のみで廃刊の可能性もあるようで、 昭和25年5月号以降が確認されていないようです。

また「少年野球画報」を所蔵している、公共機関がみつからず、 現状(2008/8)、作品内容を私自身、確認できておりません。 作品には"少年連載探偵小説"と記されていることから、 ジュヴナイル作品で、しかも連載の予定だったものと推察されます。

雑誌「少年野球画報」ならびに横溝作品「黒衣の魔術師」に関して、 ご存じの方からの、情報提供を広くお願いいたします。

このほかにも、横溝正史の中絶作品はいくつもあります。 ごく一部の方だけが目にするものとしてではなく、何らかの形で、 まとまった形で世に出すこと(つまり本として)が、 できないものか、という思いが募ります。 「黒衣の道化師」をはじめ、「神の矢」「模造殺人事件」「失はれた影」 「黒い蝶」といった中絶作品や、未発表原稿として有名となった 「花瓶男」「戸棚の中の骸骨」「石膏魔」などの作品も、 横溝正史研究の証として後世に残すためにも、世に出すべき時では ないでしょうか。お蔵入りとするには、あまりにモターイナイ(もったいない)。

雑誌「少年野球画報」ならびに横溝作品「黒衣の魔術師」をご存じの方、
ぜひご一報ください。



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