『競作黒門町伝七捕物帳』(光文社時代小説文庫,縄田一男編,1992/2)の解説によれば、
陣出達朗のほかに、数多くの方が伝七捕物帳の執筆に名を連ねています。横溝正史もその一人で、この文庫に「通り魔」という作品が収録されています。 この文庫解説で紹介されている、 桃源社刊『黒門町伝七捕物百話』(全八巻)の、第四巻(1954/12)に 横溝正史の作品が３編収録されています。 「雷の宿」,「通り魔」,「江戸名所図絵」の３作品がそれで、 これらは、その後「人形佐七」へ改稿されています。 この他にも、横溝正史による伝七作品として、「人形佐七」と同題の 「船幽霊」「宝船殺人事件」「幽霊の見世物」というものがあるらしい。 また『時代小説の読みどころ』(光文社時代小説文庫,縄田一男,1995/1)によれば、 現在、陣出達朗のものが流布されている「伝七捕物帳」も、はじめは、捕物作家クラブ同人の 共通のキャラクターとして企画・競作されたもの とのこと。 改稿癖のある横溝正史は、愛児である自分の伝七作品を書き改め、「人形佐七」作品群に 加えることで、後世に残したといえるでしょう。 伝七執筆陣： 陣出達朗, 野村胡堂, 城昌幸, 横溝正史, 邦枝完二, 土師清二, 山手樹一郎, 角田喜久雄, 村上元三, 高木彬光, 島田一男, 長田幹彦, 戸川貞雄 |
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