 春陽堂書店『完本 人形佐七捕物帳 二』 編集委員 浜田知明･本田正一･山口直孝, 2020/2/28, 本体4,500円+税 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
収録作品は次の通り。
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野本瑠美「人形佐七は横溝家の天使」によれば、横溝正史創作の最高の美男子は人形佐七ではないとのこと。 人形佐七には申し訳ないけど、、人形佐七以前に書かれた捕物帳がいくつかある。その一つが「不知火捕物双紙」。この捕物帳で活躍する主人公は名を不知火甚左という。旗本のお殿様で、この人物こそ、父が創り上げた最高の美男子であろう。 女性の美女をクレオパトラか楊貴妃とかいうけれど、美男のそれを日本に限れば、光源氏か業平であろう。 さて、不知火甚左の美男振りを、父は、こんなふうに描写している。 「男振りはどうかというと、これがまた大変、光源氏や業平からお剰銭をとろうという、げに天晴れな殿御振りなんで、まず……色は抜けるように白く、尤もこれが白いからいいんで、抜けるように、黒かった日にゃ化け物でさ、眼もとすずやかに鼻筋通り、口もとにこぼれるほどの愛嬌があり、微笑うと両の頬に、小指でついたほどの靨ができる、よく靨千両なんてことを申しますが、不知火のお殿様にかぎって、靨万々両」 と表現している。人形どころではない。全き、あきれた美男好きの父であること!! そんな光源氏や業平からお剰銭をとろうという「不知火甚左」は、捕物出版『不知火捕物双紙』で読むことが可能である。 |
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