横溝正史エンサイクロペディア・柏書房『横溝正史少年小説コレクション』 全7巻
柏書房『横溝正史少年小説コレクション』 全7巻
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2021年6月(予定)、柏書房より『横溝正史少年小説コレクション』の刊行が始まる。柏書房のサイトには、次のように記されており、否が応にも期待が高まる。

 没後40年、いまなお読者を魅了してやまない横溝正史。その横溝正史の、大人向け探偵小説以上に波乱に富む横溝正史の少年探偵物語を全7冊で贈るシリーズがついに登場。  おなじみの名探偵・金田一耕助をはじめ、由利麟太郎、三津木俊助、探偵小僧・御子柴進といった〈横溝正史オールスターキャスト〉が縦横無尽の活躍を見せる!
 角川文庫など従来版では改変が多くオリジナル版での刊行が待たれていた作品から、横溝正史のストーリーテラーとしてのもう一つの側面を見せる海洋冒険ものにいたるまで、刊行時の雰囲気を伝える挿絵を多数収録して完全復刻。一般のミステリファンにとってはもちろんのこと、マニアにとっても新鮮な横溝体験が待ち受ける!

 
柏書房『横溝正史少年小説コレクション』カラーチラシ

柏書房のサイトには、上掲の『横溝正史少年小説コレクション』カラーチラシが掲出されており、各巻の収録作品の全貌が一目瞭然となっている。角川文庫緑304シリーズに収録された、横溝正史のジュヴナイル作品タイトルがメインに据えながらも、次のポイントがあるとのこと。
 Point1当時の挿絵をそのまま採用!
 Point2単行本に収録されることのなかった幻の作品『南海囚人塔』を、
ほぼ完全に復元!!
 Point3躍動感あふれる本文割り込みのレイアウト
 Point4中高生からお読みいただけます

チラシに記された、第7巻『南海の太陽児』の収録内容に、私の眼は釘付けになった。「南海の太陽児」「少年探偵長」の収録もさることながら、圧巻は「南海囚人塔」が単行本初収録ではなかろうか。 最新情報(2021/6/4)では、未発見だった『南海囚人塔』の欠号を入手、初単行本化・完全版としてお届けできるとのこと。

横溝正史文学のミッシングピースが、また一つ減ったことの意義は大きい。その意味では、未完作品の「深夜の魔術師」「黒衣の道化師」「皇帝の燭台」なども、なかなか掲載誌に巡り合うことが叶わず、読むことが出なかった作品である。

ちなみに、各巻の作品タイトルが収録されている角川文庫緑304シリーズやその他刊本は、下記の通りである。柏書房のチラシをチェックした限り(2021/6/4時点)、角川文庫緑304収録作品は全て収録されるようだ。

角川文庫緑304シリーズでは、別人によるリライトが収録されていたが、今回の柏書房『横溝正史少年小説コレクション』では、横溝正史オリジナル作品として読むことができるようで、特筆に値する。その意味からも、各巻ともその刊行が待ち遠しく、楽しみである。また、『横溝正史ミステリ短篇コレクション』 『由利・三津木探偵小説集成』と同様に、巻末資料(付録)も楽しみにしている。今回はどんな掘り出し物が収録されるのか、期待が高まるところ。

■ 1巻 『怪獣男爵』
 怪獣男爵 緑304-81『怪獣男爵』 1978/12
大迷宮 緑304-88『大迷宮』 1979/6
黄金の指紋 緑304-83『黄金の指紋』 1978/12
 
■ 2巻 『迷宮の扉』
 仮面城 緑304-84『仮面城』 1978/12
金色の魔術師 緑304-85『金色の魔術師』 1979/6
迷宮の扉 緑304-80『迷宮の扉』 1979/7
灯台島の怪 緑304-86『蝋面博士』 1979/6
黄金の花びら 横溝正史探偵小説コレクション (3)
『聖女の首』 出版芸術社 2004/11
 
■ 3巻 『夜光怪人』
 幽霊鉄仮面 緑304-91『幽霊鉄仮面』 1981/9
夜光怪人 緑304-82『夜光怪人』 1978/12
怪盗どくろ指紋 緑304-84『仮面城』 1978/12
深夜の魔術師 横溝正史探偵小説コレクション (1)
『深夜の魔術師』 出版芸術社 2004/10
深夜の魔術師(未完)
 
■ 4巻 『青髪鬼』
 青髪鬼 緑304-92『青髪鬼』 1981/9
真珠塔 緑304-89『真珠塔・獣人魔島』 1981/9
獣人魔島 緑304-89『真珠塔・獣人魔島』 1981/9
ビーナスの星 緑304-84『仮面城』 1978/12
花ビラの秘密 緑304-82『夜光怪人』 1978/12
『蛍の光』事件 緑304-90『白蝋仮面』 1981/9
片耳の男 緑304-80『迷宮の扉』 1979/7
謎のルビー 緑304-86『蝋面博士』 1979/6
黒衣の道化師(未完)
皇帝の燭台(未完)
 
■ 5巻 『白蝋仮面』
 白蝋仮面 緑304-90『白蝋仮面』 1981/9
蝋面博士 緑304-86『蝋面博士』 1979/6
風船魔人 緑304-95『風船魔人・黄金魔人』 1985/7
黄金魔人 緑304-95『風船魔人・黄金魔人』 1985/7
動かぬ時計 緑304-80『迷宮の扉』 1979/7
バラの呪い 緑304-92『青髪鬼』 1981/9
真夜中の口笛 緑304-92『青髪鬼』 1981/9
バラの怪盗 緑304-90『白蝋仮面』 1981/9
廃屋の少女 緑304-92『青髪鬼』 1981/9
 
■ 6巻 『姿なき怪人』
 まぼろしの怪人 緑304-87『まぼろしの怪人』 1979/6
姿なき怪人 緑304-94『姿なき怪人』 1984/10
怪盗X・Y・Z 緑304-93『 怪盗X・Y・Z』 1984/5
 
■ 7巻 『南海の太陽児』→『南海囚人塔』
 南海の太陽児 『少年小説大系第18巻 少年SF傑作集』
三一書房 1992/5
南海囚人塔
黒薔薇荘の秘密 緑304-86『蝋面博士』 1979/6
謎の五十銭銀貨 緑304-82『夜光怪人』 1978/12
悪魔の画像 緑304-84『仮面城』 1978/12
あかずの間 緑304-94『姿なき怪人』 1984/10
少年探偵長 『海野十三全集 第13巻 少年探偵長』
三一書房 1992/2
※海野十三遺作を引き継いで完成
 

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