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日本航空(JAL)情報誌「アゴラ」2003/8の Agora Lounge に掲載された、旅にまつわる
エピソードのオリジナル原稿(掲載時に編集カットされた部分を含む全長版)です。
パーカーは、JALマーク入りトラベルクロックを掲載記念にもらいました。 ポップコーンに頭をガツンと一撃された。約半年のアメリカ出張から帰国の途につくべく、足を踏み入れたピッツバーグ国際空港で。ペンシルバニア州ピッツバーグからシカゴ乗換えで成田まで、十数時間の長い一日が始まる。チケットを日本航空にエンドースし、チェックインを済ませ身軽になった私は、遠くがかすんで見えない程広いエアモールと呼ばれる空港施設を闊歩していた。 マクドナルドで客の持っているトレイを見て、日本のそれにはない商品にくぎ付けになった。ポップコーンなのだが、無性に食べたくなった。出張前に家族で出かけた、東京ディズニーランドで食べて以来のことだ。列に並び、前方のメニューボードを見ると、右端の一番上に確かに"POPCORN"と記されている。陳列ケースにポップコーンの山ができている。わたしの番がきた。「ポップコーン、プリーズ」とオーダーする。店員の宙を泳ぐ目。再度「ポップコーン、プリーズ」。店員の困惑した顔。店員がわからないと言っている。メニューボードの右上を指差して説明。店員の顔に笑みが戻り、「オー、パップコン」という言葉に私は頭をガツンと一撃され、ピッツバーグを後にすることになった。シカゴで、うなだれながら成田行きのジャンボ機に一歩足を踏み入れた。「お帰りなさいませ、こんにちは」の一言に、気分が晴れてしゃんと胸を張った自分がいた。 家族でポップコーンを食べるとき、「ポップコーンは英語で、パップコンだね」と、子供たちの笑顔が弾む。未だにマックのメニューに、ポップコーンがあったことを信じてもらえないが…。(神奈川県・旧ピッツバーガー)(執筆:2003年) |
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