「湖泥」挑戦に答ふ!
「湖泥」挑戦に答ふ!
- 3人は横溝正史を凌いだか -

「湖泥」(オール讀物,S28-1)には、横溝正史を含む4者による解決編競作が あったのをご存知でしょうか。
横溝正史の解決編は作品として刊行された。しかしながら、他の3者の解決編は 雑誌発表のまま取り残された形になっている。

探偵文壇の巨匠が放つ本格殺人事件、謎を解くは斯界の鬼三人!
と紹介され、初出雑誌でこの小説は始まっています。

そして、の終わりで、
作者曰く。以上でだいたい犯人捜索のデータは揃つてゐるつもりです。 ひとつ金田一耕助くそくらへの名探偵ぶりをお見せ下さい。
と、読者に対して挑戦しています。

角川文庫緑304-30『貸しボート十三号』解説で、中島河太郎氏が解決編競作を紹介しています。 「湖泥」は、角川文庫よ5-6『人面瘡』もしくは、春陽文庫C95-27『本陣殺人事件』で読むことは出来ますが、 この文庫解説は、緑304でしか読むことが叶いません。

オール讀物, 昭和28年1月号より引用
オール讀物, 昭和28年1月号より引用

挑戦に答ふ!以上、横溝氏の挑戦に対して、推理小説ファンの三氏は、名探偵金田一耕助に代って 次の如き解決を下しましたが、果して殺人鬼の謎をはらむ足跡をつきとめたか否や!」
と説明があり、各氏の解決編が3コースに分けて掲載されている。

花森安治(服飾研究家)「モハン」的解決
横山隆一(漫画家)浩一郎の告白
飯沢匡(新聞記者)名探偵の手紙

「病院横町の首縊りの家」が、岡田鯱彦と岡村雄輔、二人の解決編と合わせて、 文庫化(『鯉沼家の悲劇』,鮎川哲也編,光文社文庫,1998/3)されたように、 数少ない横溝作品への挑戦を、書誌上見逃す手はない。

この作品で、あなたが一押しとする読みどころを
ぜひお知らせください。



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