- 金田一耕助の防御率は本当に悪い？ -
金田一もの主要10作の犠牲者数を明記しています。ご注意願います。
探偵の防御率とは、「探偵が事件に関与してから解決するまでにおきた殺人件数を作品数で割ったもの」
(本の雑誌,1993/11)とある。「防御率の一番悪い探偵は金田一耕助だった！」(本の雑誌, 1993/11)によれば、 金田一耕助の防御率は主要10作品で4.2と記されている。他に紹介されている、 神津恭介(高木彬光)の2.0，十津川警部(西村京太郎)の3.3と比較し、大きな数字である。 「本の雑誌」で選ばれた主要10作と犠牲者数は、下記のとおり。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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金田一の場合、連続殺人を扱うケースが多く、本の雑誌で選ばれた10作は 『本陣殺人事件』を除き、まさに選りすぐりの連続殺人事件である。 しかしながら全77作品で見れば、意外なことに115/77≒1.5という 防御率となる。殺人がおきていないジュヴナイルを含めると、 分母が大きくなるだけ、防御率が更に改善する。 なお犠牲者数のカウントは、『金田一ファミリーの謎』(飛鳥新社,1996/12)収録の 『金田一耕助の「事件記録」一覧』によった。 この表によれば、全77作品で合計208人もの犠牲者が出ている。ご冥福をお祈りする。 犠牲者の最も多かった作品は『三つ首塔』で10人にも及び、金田一が関わってからも ７人も犠牲者が出るという事件です。また『八つ墓村』にいたっては、 「私は最初から犯人を知っていたのですよ。…(以下略)」と金田一の口から とんでもない発言がでる始末。わかっていたなら、なんとかせえよといいたいところです。 こんなところから、金田一＝殺人を阻止できない探偵という、レッテルを貼られたのでは ないでしょうか。しかし実体は、「防御率:1.5」というまずまず(?)の成績(本当はゼロが良いに決まっている)を 残しているわけですから、立派な名探偵だったといえるのではないでしょうか。 探偵防御率という観点から、金田一作品を読むのも一考かと思います。 |
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